おススメ本(書評)

学校では教えない、不真面目で面白い歴史の授業。 書評『お金の流れでわかる世界の歴史』

 

今回は、書評『お金の流れでわかる世界の歴史』です。


お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

世界史を「単なる丸暗記の対象」にしたのは、一体誰なんでしょう・・・。

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」といいます。

歴史を知ることで自分が今置かれている状況が把握しやすくなったり過去の過ちを繰り返さない等、歴史は本来とても役立つ学問ではないでしょうか。

 

でも、私にとって過去に学んだ歴史は、「暗記の対象」でしかありませんでした(笑)。

 

今回の書評で採り上げる『お金の流れでわかる世界の歴史』は、単なる暗記の対象ではないとおもいました。

読み物としても非常に面白く、知的好奇心を大いに刺激されました。

通常我々が習う歴史は政治や戦争にフォーカスされた体裁が主流であるのに対して、本書は世界史を「マネー」という切り口から読み解いているんです。

歴史というのは、政治、戦争などを中心に語られがちだ。「誰が政権を握り、誰が戦争で勝利したのか」という具合に。だが、本当に歴史を動かしているのは、政治や戦争ではない。お金、経済なのである。

(中略)

このように、世界史を“マネー視点”で見てみれば、新たな歴史事実が浮かび上がってくる。むしろ、「お金」の流れを追うように理解していけば、世界史の流れがさらにわかりやすく頭に入ってくるだろう。

引用元:お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

 

この「マネー」な点が、斬新で面白いんですよ。

「金融の世界史」や「経済史」というわけでもないとおもいますよ。

そのものズバリの、「マネー!!!!!」です(笑)。

 

だから「学校では教えない、不真面目で面白い歴史の授業。」なんです。

 

世界史の幅広い流れが、お金を通じてとても分かりやすく書かれています。

 

本書『お金の流れでわかる世界の歴史』の著者である大村大次郎さんは、元国税調査官で法人税担当調査官だったという異色(?)の経歴の持ち主です。

もともと税金のプロだった人がライターに転向して書いたのが本書『お金の流れでわかる世界の歴史』なのですから、期待が持てますね。

章立ては以下のとおりです。

序  「お金の流れ」で読み解くと、「世界史の見え方」はガラリと変わる!

第1章 古代エジプト・古代ローマは“脱税”で滅んだ

第2章 ユダヤと中国――太古から“金融”に強い人々

第3章 モンゴルとイスラムが「お金の流れ」を変えた!

第4章 そして世界は、スペインとポルトガルのものになった

第5章 海賊と奴隷貿易で“財”をなしたエリザベス女王

第6章 無敵のナポレオンは“金融戦争”で敗れた

第7章 「イギリス紳士」の「悪徳商売」

第8章 世界経済を動かした「ロスチャイルド家」とは?

第9章 明治日本の“奇跡の経済成長”を追う!

第10章 「世界経済の勢力図」を変えた第一次世界大戦

第11章 第二次世界大戦の“収支決算”

第12章 ソ連崩壊、リーマンショック――混迷する世界経済

上記のとおり、古代から現代まで、洋の東西関係なく幅広い歴史をカバーしています。


お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

本書の欠点

 

本書は、非常に読みやすくまとめられていますが、どこまで根拠のある話なのかが分かりづらいです。

参考文献は載っていますが、脚注等で引用が示されていないため、独自研究っぽくみえるところもあります。

まあそうは言っても、本書の中身の一部を引用して学会で論文でも発表するならまだしも、一般人の我々が「世界史に対する新たな気づき」を本書から得る分には、大きな問題にはならないでしょう。


お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

本書の見所

 

以下に、本書の見所を、ネタバレにならないようにしながらご紹介します。

 

一日では滅ばなかったが、ローマも増税でコケた?

 

初期のローマは、とても住みやすい国だったことがうかがえます。

古代ローマの共和政時代には、ローマ市民はほとんど直接税を払っていなかった。その必要が無かったのである。

引用元:お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

 

我々の目線からすると、税の面で恵まれた古代ローマって、何だかとても良い国に見えませんか?

でも、ある時期を境に、ローマは舵取りを間違えて衰退。

一体どのようなマネーの動きが絡んでいたのでしょうか?

 

海賊と奴隷貿易で”財”をなしたエリザベス女王の黒歴史

 

イギリスには、先進国になってから長い年月があるので歴史と伝統という言葉が漂いますが、黒歴史があるとのこと。

ヘンリー8世の娘、エリザベス女王の時代に、イギリスは大きく飛躍する。エリザベス女王が、大英帝国繁栄の基礎をつくったともいわれる。このエリザベス女王の時代、イギリスは「略奪」を極める。その略奪とは、簡単にいえば、「海賊」と「奴隷貿易」である。

引用元:お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

 

思いっ切り真っ黒ですね(笑)。

本書で語られる「その具体的な黒歴史」は、どうなのでしょうか。

 

ナポレオンが勝てるかどうかもカネ次第だった

 

ナポレオンといえば、勇敢で強い人というイメージが先立ちます。

でも実際のナポレオンの強さ支えていたのはカネだったとのこと。

しかし、それだけのお金を調達する手腕が、ナポレオンにはなかった。ナポレオンは軍事的には天才だと言われているが、財政面ではまったくの素人だったのだ。

引用元:お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

 

地獄の沙汰も金次第といいますが、無敵だった時期のナポレオンの軍事力のウラには、どのようなお金のカラクリがあったのでしょうか。

同時に、無敵だったナポレオンが勝てなくなったウラには、どのようなお金のカラクリがあったのでしょうか。

 

本書のまとめ

 

本書『お金の流れでわかる世界の歴史』はお金と世界史の流れがとても分かりやすく書かれています。

お金を軸に世界史を読み解くことで、単なる政治や軍事的な流れからは分からないことがよく理解できる良書です。

受験生におススメですし、我々のような社会人も大いに楽しめます。

歴史好きはもちろん、教養として歴史を学びたい方などにも是非読んでほしい一冊といえます。

 

《本の概要》


お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

著者:大村 大次郎

出版社: KADOKAWA / 中経出版 (2015/12/14)

 

《著者プロフィール》

元国税調査官。国税局に10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後、ビジネス関連を中心としたフリーライターとなる。単行本執筆、雑誌寄稿、ラジオ出演、『マルサ!!』(フジテレビ)や『ナサケの女』(テレビ朝日)の監修等で活躍している。ベストセラーとなった『あらゆる領収書は経費で落とせる』をはじめ、税金・会計関連の著書多数。一方、学生のころよりお金や経済の歴史を研究し、別のペンネームでこれまでに30冊を越える著作を発表している。今回の本は「大村大次郎」の名前で刊行する初めての歴史関連書。

 

 

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貞吉 則蔵(さだよし のりぞう) ・40代 ・氷河期世代 ・自由人 ・投機取引(相場歴10年超・FX・S&P500ETF・手法の軸足はトレンドフォロー) ・広告代理店マンだった人(10年勤めて退職) ・資格: 宅地建物取引士(合格当時は宅地建物取引主任者) ・出身校: 慶應義塾大学 ㈱電通など ・短編小説 ・エレキギター(Gibson Les Paul Standard・Fender Eric Clapton Stratocaster) ・格闘技(Kickboxing)
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