今回の記事は『ポストユニクロはワークマン? 作業着とアウトドア服の複合店を新規オープン』です。
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ワークマンが作業着とアウトドア服の複合型店舗を新規オープン
つい先日アウトドア服を扱う新しいタイプのお店をオープンしたばかりのワークマンが、間髪入れずに新しい展開を進めています。
作業着販売店最大手のワークマンが一般消費者の取り込みを急ぐ。8日、アウトドアウエアと作業着の売り場を融合させた路面店を開店した。9月に新業態のアウトドア専門店を始めたが、両ジャンルの複合展開は初めて。国内は少子高齢化で、主要顧客の大工や職人が減少傾向にある。作業着で培った技術を開拓余地の大きいアウトドアなど分野に生かして成長につなげる。
(中略)
新店では売り場の半分にプロ向けの作業着、残り半分に一般消費者向けのアウトドアウエアやレインスーツを置く。土屋哲雄常務は「既存店は早朝と仕事終わりに立ち寄る人が多い。複合店にして、客足の少なかった昼間に一般の人に足を運んでもらいたい」と期待する。
今度は作業着とアウトドア服を両方扱うハイブリッドなお店を増やして、新たな需要の取り込みを狙うわけですね。
整理すると下記のイメージですね。
これまで: 作業着のお店を展開
2018年9月: アウトドア服の専門店を新規オープン
2018年11月: 作業着とアウトドア服の複合型店舗を新規オープン
作業着は動きやすくて丈夫でリーズナブルなはずですから、作業着で蓄積したノウハウはアウトドア服との親和性がバッチリなんでしょうね。
ワークマンの展開しているアウトドア服は、普通にカジュアルウエアとしてもイケる可能性がありそうです。
下記は2018年9月にオープンしたアウトドアの専門店の様子です。
ワークウエアの最大手ワークマンが満を持して9月5日、ららぽーと立川立飛にオープンした高機能・低価格カジュアルSPA「ワークマンプラス」1号店
(中略)
プロ向けワークウエアとして確立された機能性は半端なく、アウトドアブランドやスポーツブランドの機能性商品の3分の1、4分の1という低価格がライダーやアウトドアフリークに支持されるのも当然だ。ユニクロなどカジュアルSPAの機能性商品より一回りも二回りも安い“ホームセンター価格”なのに格段に本格的で、アウトドアやトレッキングぐらいなら十分耐用できる。「ファッション性アウトドア」のファッション感覚も必要にして十分で、陳腐化リスクのギリギリ手前で抑えている。
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将来的には、ユニクロと正面から競合するかもしれませんね。
ポストユニクロはワークマンか?
ユニクロは近年の値上げで苦戦した
ファストファッションという新たな領域を開拓してカジュアルウエアの王者として君臨するユニクロは、つい数年前に値上げで手痛い思いをしています。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が日本経済新聞の取材に応じ、カジュアル衣料品店「ユニクロ」で2015年まで2年連続で実施した値上げについて「通用しなかった」と語った。戦略ミスと認め、即座に値下げを実施。事業拡大とともに大企業病に陥っていることへの危機感もあらわにした。国内衣料品最大手の価格戦略転換は、物価上昇による成長を期待する国内景気にも影響を与えそうだ。
「値上げした商品が評価されなかった。市場は非常にシビアで、そこで値上げしてしまったことがよくなかった。僕らが考えているよりも消費者の状況はもっと悪い」
業種によっても値上げがスムーズに受け入れられるかどうかは違いますが、ユニクロが2015年まで2年連続で実施した値上げが受け入れられなかったことは、普段着の値上げは一筋縄ではいかないことを示唆する事例として、大いに参考にすべきでしょう。
中長期でみた日本はデフレモードのまま
日銀が2%のインフレ目標を定めたのが2013年1月の金融政策決定会合ですが、2018年4月の段階で物価2%達成の目標時期を削除しました。
事実上のギブアップです。
日本銀行は27日の金融政策決定会合で、「2019年度ごろ」としていた物価目標2%の達成時期を経済・物価情勢の展望(展望リポート)から削除した。
日銀総裁は金融政策を通じて日本経済を盛り上げようとして下さったわけですが、まあなかなか難しかったということなのでしょう。
実際のところ、経済は人々の気分に左右される部分がかなり大きいことから、理論通りに事が運ばないことも多いようです。
仮に、この「多くの人の気分」が不景気(悲観・デフレモード)から好景気(楽観・インフレモード)に転換するポイントを、過去の経済成長率から探るなら、経済成長率が毎年2~3%をキープ出来る時代にならないとダメかもしれませんよ。
第二次安倍内閣がアベノミクスとともに誕生してから経済成長率2%以上になったのは、2013年だけですから(笑)。
ちなみに、翌2014年に消費税率が5%から8%にシフト。
消費税率が8%になった後は全然ダメなままということでもあります(笑)。
経済成長率が毎年2~3%で増えていく時代は、まだまだ先といえそうです。
日本の経済成長率の推移をグラフ及び時系列表にて掲載しています。
・GDPが前年比でどの程度成長したかを表す。
・経済成長率 = (当年のGDP – 前年のGDP) ÷ 前年のGDP × 100
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引用元:日本の経済成長率の推移
デフレ脱却ではないならワークマンのお値打ち価格がファンを増やす可能性は高い
まだ、日本経済のデフレ脱却が済んでいないという解釈が正解ならば、前述のユニクロが値上げに苦戦したことも不思議ではなくなります。
同時に、作業服で培ったノウハウを活かして「機能性は抜群なのに、価格はホームセンター価格。」というワークマンがファンを増やしても、何ら不思議ではなくなります。

追記2019/05/22:景気判断6年ぶりに「悪化」
貿易摩擦で米中対立が激化する中、日本の景気判断は6年ぶり悪化となりました。
内閣府が13日発表した3月の景気動向指数からみた国内景気の基調判断は6年2カ月ぶりに「悪化」となった。外需の低迷で、生産や輸出が落ち込んだことが背景だ。政府として景気後退を認定したわけではないが、景気動向指数の定義上は後退局面にある可能性が高いことを示す。米中貿易摩擦が一段と激しくなれば、国内景気にはさらに下押し圧力がかかる。
次第に暗雲が立ちこめているようにも見受けられる日本経済。
今後の展開からも目が離せませんね。