今回の記事は『深刻な人手不足倒産 対策は外国人労働者受け入れ拡大か?』です。
人手不足の倒産が増加
人手不足倒産がどんどん増加しています。
人手不足が加速し、企業の事業継続に深刻な影響が出ている。東京商工リサーチの調査によると、二〇一八年一~十月に人手不足関連倒産は前年同期比20・4%増の三百二十四件に上り、一三年の調査開始以降、最悪だった一五年(一~十二月で三百四十件)を上回るペース。
東京にいると人口減少の実感は希薄ですが、地方は医師不足をはじめとして既に影響が出ています。
国立社会保障・人口問題研究所の予測では、2015年から2025年における生産年齢人口(15-64歳)に関して500万人以上(7700万人から7170万人へ)の減少が見込まれています。
このままだと人手不足の問題は、もっと深刻さが増していく可能性もありますね。
政府は外国人労働者の受け入れ拡大
人手不足に対応して、政府は外国人労働者の受け入れ拡大を図っています。
外国人労働者の受け入れ拡大に向けて新しい在留資格を設ける入管法改正案を巡り、政府は14日の衆院法務委員会理事懇談会に、受け入れを検討している14業種の受け入れ見込み人数を示した。合計は初年度(2019年度)で3万2800~4万7550人、5年間で26万2700~34万5150人。介護は、高齢化社会の進行を背景に、初年度の5000人が5年間でほぼ10倍の5万~6万人に膨らむと見込んでいる。
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アメリカが経済発展を続けて少子化問題や年金問題を最小限に食い止めている大きな理由は、移民をコンスタントに受け入れ続けてきたからだとされています。
一方、先進国で人口減少問題が最も深刻なのは、日本です。
ただ・・・、人口減少が著しいといっても、外国人労働者の受け入れは、実質的には移民の受け入れに限りなく近いですし、外国人が国内に増加することに対する不安材料は増えますね・・・。
外国人の受け入れや移民に対するネガティブなイメージ
外国人を日本に受け入れることを考えた時に、不安材料として上がりやすいことは、概ね下記の3つに集約されるのではないでしょうか。
●労働者が大量に押し寄せてきて、日本人の雇用を奪うかもしれない。雇用が奪われなくても安い労働力が増えることで、日本人の年収が下がるかもしれない。
●日本にやってくる外国人の中に犯罪者やテロリストが紛れ込んで、治安が悪くなるかもしれない。
●外国人たちが日本社会に馴染もうとしないことで、社会の分断が起きるかもしれない。
「この手の不安を解消しつつ国益に合致するやり方」って無いのでしょうか。
キチンとした外国人を優先的に受け入れれば問題は起きないはず
外国人とはいえ、キチンとした人を選別していけば、そう大きな問題にはならないはずです。
●犯罪歴が無いこと
●日本語の習熟度合いが高いこと
●学歴と職歴が高いこと
●医師のような難易度の高い資格を保有していること
等を考慮して、キチンとした人を募集していくスタンスをキープすれば、かなり有望でしょう。
キチンとしていてハイレベルな外国人の受け入れ
一般的な日本人の雇用とバッティングせず、治安悪化を助長する心配も少ない人なら、“助っ人外国人”として、むしろどんどん来て欲しいのではないでしょうか?
特に需要がありそうなのが、医師、AIやフィンテックなどのIT関係者かと。
地方の多くは医師不足ですから、そこへ外国人医師が赴任してくれれば助かります。
日本はAIやフィンテックに関して他の先進国に比べて大きく出遅れていますから、即戦力になる有能な外国人を引っ張ってきた方がいいでしょう。
スティーブ・ジョブズは、シリア系移民の血を引きます。
ジェフ・ベゾスは、キューバ系移民の血を引きます。
優秀な外国人に日本へ移住してもらうことは、日本社会にとっても有益なことだとおもいます。
まあ、一番のネックは賃金なんでしょうけどね。
プロ野球でもそうですが、日本は優秀な人に対する報酬が低いので有名ですから、優秀な外国人からすればあまり魅力がない国なのかもしれません(笑)。
ハイレベルというわけではないがキチンとしている外国人の受け入れ
次に、ハイレベルとまでは言えないけど「そこそこマトモな人たち」です。
そこまでハイレベルな仕事は任せられないが、人手不足の緩和を担ってくれる外国人の受け入れです。
雇用に悪影響が出ないよう人数を限定して受け入れていけば、人手不足の解消はもちろん、年金問題や社会保障を支える人員として活躍してくれるのではないでしょうか。
意外にも、来日する外国人は10年前より品行方正だった。
私自身、日本国内に外国人が増えると治安が悪くなりそうでイヤだなというおもいがありましたが、それは取り越し苦労の可能性も高いです。
下記は『平成30年警察白書』からの引用です。
なんと、平成20年(2008年・10年前)と比較して、近年は外国人を検挙した件数(総数)が10年前の半分程度で推移しているのです。
「件数」ではなく「人数」でみると半分とまでは行きませんが、それでも低下しています。
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引用元:平成30年警察白書
外国人=悪者であるならば、インバウンド消費が本格化した近年の方が検挙される外国人旅行者が増えていても良さそうなものです。
それに加えて外国人労働者も年々増加しているにもかかわらず、10年前(平成20年・2008年)と比較して検挙件数(総数)が半減しているのは驚きでした。
実際問題として外国人が日本国内で何かトラブルを犯した場合は国外への強制退去を命じられますから、最初から犯罪する気満々でやって来る悪党を除けば、犯罪を未然に防ぐ抑止力は既にあると考えてもいいのかもしれません。
そして上記データは、普通に働く目的で日本へ来た外国人たちは、日本人以上に法令を遵守しようとする傾向が高まっていることを示すものなのかもしれません。
結び:実は日本は古くから外国人を受け入れてきた歴史もあり、外国人の受け入れに過剰反応を示す必要は無いのかも。
人口減少は、あらゆる産業の衰退を助長します。
人口減少の問題を何とかしないと、どこかの時点で我々日本人が、移民や外国人労働者として外国に移住する羽目になるのかもしれません。
併せて、今回採り上げた外国人の件に関して日本の歴史を紐解くと、移民を受け入れてきた実績が豊富にあることがわかります。
16世紀末から17世紀初頭には、大勢の中国人や韓国人が日本に来て、大名家の右筆や御殿医となった。陶芸や染色に従事しながら農耕に努めた者も多い。そしてその子孫は完全に日本に同化した。三代のちの元禄時代には「忠臣蔵」の討ち入りに参加する者(武林唯七)まで出た。また、19世紀の後半、明治維新から日清戦争までの時期にも、大勢の中国人が日本に来た。この人たちの子孫からは直木賞作家(陳舜臣氏)や宝塚スター(鳳蘭氏)なども出た。完全に日本に同化して「よき日本文化の創造者」になったのである。
上記のとおり、歴史的にも日本はこれまで外国人を全く知らずに暮らしてきたわけではありません。
大和王権まで遡っても渡来人なんて明らかに移民でしょうし、渡来人は先ほど挙げたハイレベルな人材が多かったのではないでしょうか。
そうなると、現代の欧米の移民政策から成功例と失敗例を学んで良い所を積極的に採り入れていけば、現代の日本も何とか対応出来そうに思えてきます。
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≪参考・参照≫